改訂新版 世界大百科事典 「YKK」の意味・わかりやすい解説
YKK[株] (ワイケイケイ)
ファスナー,アルミ建材メーカーで,YKKと表記。1934年,吉田忠雄(1908~93)によりファスナー製造のためのサンエス商会として東京日本橋に設立。36年には早くも南アメリカ,オーストラリアにファスナーを輸出するようになり,38年,工場を新設するとともに社名を吉田工業所に改称。42年に有限会社吉田工業所に改組したが,45年3月の大空襲で工場が焼失,吉田は郷里の富山県魚津に疎開し,そこで同年6月に魚津鉄工所を買収,鉄工事業を行う。同年8月社名を吉田工業(株)に改称,47年には東京に事務所を開設し,49年には魚津にファスナーの原料から製品までの完全一貫生産システムの工場を完成させた。しかし当時ファスナー製造の大部分は手作業で行われていた。その生産性を一挙にあげるため,50年にアメリカから自動チェーンマシンを輸入,54年には富山県黒部市に3万坪の工場の建設に着手した。その間,本社を東京日本橋に移転した(1963年に現在地東京神田に移転)。海外工場は1959年にインドに建設したのが最初で,その後アメリカ等世界各国に建設している。また66年には住宅用アルミサッシュの分野に進出,現在ではこの分野でもトップメーカーである。ファスナーでは世界一のメーカー。1994年登記上の社名をYKK(ワイケイケイ)と改称。資本金119億円(2004年3月),売上高5579億円(2004年3月期)。
執筆者:木村 栄宏
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報